スティーブ・ジョブズにサブノートを作らせる方法

〜サクラ作戦〜

このお話は、2001年3月頃に書いたインチキ話を再掲したものです。当時、「Apple、サブノート出さねーかな〜」なんて不満が盛り上がっていた時期でございました。もちろん、この与太話が後のMacBook Airを生んだ、なんて事は全くありません(大体、AIrはサブノートじゃないし)。最新のCPUはPowerPC G4、OSはMac OS 9でMac OS Xの発売直前、とう時代です。Appleもまだ社名がApple Computerです。それも含めて、文中の名称などは当時のままとしております。
あ、ひとつだけ訂正しておきますと、文中登場するAYNiMac(あいにまっく!)のwebmaster・nakamuxuさんの「きれいな彼女」は「きれいな奥様」に無事アップグレードされております。
2011年10月6日記す

このお話はフィクションです。というか、冗談です。与太話です。真面目に読んじゃ、いけません。実在の組織、人物とは一切関係ありません。実在の組織・人物との相似点があるとすれば、全くの偶然(^_^;)です。


EXPOの度に出るの出ないのと騒がれているAppleのサブノート(ほとんどオバケみたいな存在ですな)ですが、まぁ、今の所は出そうにありませんなぁ。ジョブズがサブノートを必要と考えているとも思えないし。

私自身、モバイラーではないのでサブノートを必要としないのですが、ソフトウェアのデザインで世界が変わったり(Mac OSのことね)、ハードウェアのデザインで世界が変わったり(だいぶ神通力が失せてるけど、iMacのことね)するのと同様、マシンの大きさが世界を変える可能性があるのもまた事実です。というわけで、ジョブズにサブノートを作らせる方法を愚考してみました。


やはり、ここば以前PowerBook2400製品化の時に、Appleの人を日本の満員電車に乗せて小型ノートの必要性を説いた故事に倣って、ジョブズを日本の満員電車に乗せてしまいましょう。しかし、頑固なジョブズが満員電車に乗った程度で自分の考えを曲げるとも思えません。で、少々計略を練るわけです。

まず、ジョブズをおびき寄せねばなりません。ジョブズもAppleとPixar両方のCEOを兼任する多忙な身。簡単に、日本の満員電車に乗ってくれる訳はありません。ここは、負けず嫌いなジョブズの性格(多分)を利用して、挑戦状を送りつけちゃいます。

もちろん、日本の1ユーザーが挑戦状を出しても、多分無視されるのが落ちです。そこで、「Apple?僕ならファッションメーカに変えるね」なんてナマイキな事を言っていた某コンピュータメーカー、デ○のCEOの名前で出すことにしましょう(本当にやったら犯罪だよ)。挑戦状はこんな感じ(もちろん、送るのは英文ね)。

ハゲのスティーブへ
やぁ、スティーブ。相変わらず、コンマ数GHzのくそ遅い見た目だけのコンピュータを作ってるようだね。まぐれの連続黒字で調子に乗って、ナマイキにも株式分割なんぞしたら、またぞろ赤字になったみたいじゃないか。ざまぁ無いね(笑)。トーキョーのEXPOでは、珍しくスーツ姿で現れたそうだけど、僕が言ったとおり、ファッションメーカーに鞍替えする前準備かい(笑)。
トーキョーと言えば、君の作ったうすらでかい銀色のノートパソコン、ブーイングが凄かったろうね。日本人と言えば、満員電車の中だろうが、上野公園のお花見の最中であろうが、オフ会の居酒屋であろうががノートPCを開いたりバラしたりする国民だってのは知ってるよね?君の作ったうすらでかい銀色のノートパソコンなんて、満員のヤマノテ・ラインで開くのは、ラクダが針の穴を通るより難しいぞ(笑)。どうせチタンを使うなら、ゴルフクラブでも作ったらどうだい。口惜しかったら、通勤ラッシュのヤマノテ・ラインであのうすらでかい銀色のノートパソコンを使ってみやがれ(笑)。

追伸
これからは、MacのCPU、KHzで表示したらどうかな?凄く速く見えるかもしれないよ(笑)

追伸の追伸
お前のかぁちゃんでーべーそー

あなたの友
○ルのCEOより

ああ、自分で書いていて腹が立ってきた。ううむ、デ○のCEOめ、許せん!(おいおい)。


とまぁ、挑戦を受けた以上、ジョブズも引き下がるわけには行きません。早速、ジョナサン・アイブあたりを伴って、日本まで自家用ジェットでひとっ飛びです。ジョブズって、あれで結構事前にしっかり準備するタチだから、機内では勿論、その辺にいたAppleの社員におしくらまんじゅうさせて、その中でにっこり笑って「ベリーシンプル」なんて言いながらPowerBook G4を開く練習などしているわけですな。ま、そんなこんなで、何とか多忙なスケジュールの合間を縫って、日本に到着するわけです。


一方、こちらは日本。まずは、ジョブズの乗る電車を探り出さなければなりません。そこはそれ、ニンジャの国、日本です。かねてからサブノートを出さないことに不満を持っていたMacユーザーの中から選りすぐりの者を忍者部隊として組織して、中野あたりで育て上げるわけです(PowerBookの陸軍があるので、忍者部隊があっても不思議ではない)。名付けて、忍者部隊・激高(げっこう。勿論、拳銃は最後の武器です)。ニンジャですから、ジョブズが乗る電車を探り当てるなんて、簡単なものです。で、激高の出番は終わり。闇に生まれ闇に消える。それが忍者の定めなのです。


ジョブズご一行、首尾良く通勤ラッシュの山手線に乗り込み、かねて準備のPowerBook G4を取り出します。方や迎え撃つ日本側、ジョブズのまわりに3人ほどサクラを配置するわけですな。以後、本作戦を「サクラ作戦」と呼称します。

もちろん、全員Macユーザーであることは、言うまでもありません。


舞台は、満員の山手線に移ります。以下、会話は英語で行われていると思ってくださいませ。

ジョナサン・アイブ(以下、)「スティーブ、ちょっとこの混雑は想像以上だよ。ここでPowerBook G4を使うのは、さすがにちょっと無理じゃないかい?」

スティーブ・ジョブズ(以下、)「ノープロブレムだ、ジョン。いくら混んでいても、薄さわずか1インチのPowerBookさ。ほんの少しでも隙間があれば、このパワーとセックスを兼ね備えた史上最高のラップトップを使うことができるんだ。ベリーシンプル。ほら、こうやって、エレガントに使えるのさ」

と、特訓の甲斐あって、見事満員電車の中でPowerBook G4のモニタをスマートに開けるあたり、さすが稀代のペテン...、もとい、天才的プレゼンターたるスティーブ・ジョブズの面目躍如です。


ここで、サクラその1・キャピキャピ風OLさんの出番です。おもむろにジョブズの手を取り、

キャピキャピ風OL(以下、)「きゃー、ちかぁーん。何するのよ、この不良外人!」

「■※?@...お、お嬢さん、何かの誤解です。私は、ただ、このラップトップコンピュータを」

「五階も六階も無いわよ。スケベ、チカン、変態。この手よ、この手で、触ったでしょう!この乙女のや・わ・は・だ・を!その好色そうなハゲが何よりの証拠よっ!」

「ハゲって...」

「それに、さっきからパワーだのセックスだの、嫌らしいことブツブツ言っていたでしょう」

「えーと、いや、その、Powerとsexというのは、その、あれです。所謂セックスをここでナニするとかそーゆーえっちぃ話じゃなくて、この私が持つところのコンピュータのキャッチフレーズでして、これがまた、史上最高のラップトップコンピューターでPower+sexを兼ね備えて更に満員電車でもへいちゃらよ、と言うのを証明すべく」

「ほぉーら、また言った。白昼堂々、天下の往来の中でそんなイヤらしいこと、よく言えたものね。この、好色変態不良外人!」

「あのー、お嬢さん、この方は別に怪しい人ではなくて...」

「嫌ぁー、仲間ね。チカンの仲間なのね?チカン集団なのね?なにさ、ホモみたいな顔してるクセしてチカンするなんてぇ」

「ホモって...いや、その、別に私はホモじゃなくて、やはりどちらかというと女性の方が...」

「ほら!ほら!!ほら!!!語るに落ちたわね。やっぱり女好きの痴漢変態不良外人一味なのね。」

「いや、その、そう言った意味ではなくてですね、えーと、大きな声では言えませんが」

「そうよね。いくら何でも私はチカンです!なんて大声で言えるわけないわよね。言えないんだったら、最初からチカンなんかするんじゃないわよ!」

「いや、その、こちらはね、怪しい人じゃなくて、実は前の副将軍、じゃなくてアップルコンピュータのCEOの」

「馬鹿にしないでよ」

「へ?」

「あなた、私が若くて可愛いOLだからって、馬鹿にしてるでしょう。なんで果物会社がコンピュータなんか作るのよ。バイオテクノロジーを使ったコンピュータがまだ実用段階じゃないことぐらい、私、知ってるんだから」

「えーと、その、そうだ!iMac、iMacならお嬢さんご存じでしょう?」

「あいまっく?って、Webマスター必携のLiTagの作者にして、彼女が美人なので秘かに一部の妬みを買っているけど、実はみそじ〜ずな人が作ってるWebサイトのこと?」

「それは、あいにまっく!...って、お嬢さん、あなた実はかなり濃いMacユーザーでは?もしかして、知ってて我々をからかってませんか?」

「ひどい。ひどい。ひっどぉ〜い!チカンのクセして、私を嘘つき呼ばわりするのね。盗人猛々しいとはこのことだわ。」

「いや、えーと、我々は泥棒ではなくて...」

「チカンね?チカンなのね?やっぱり本当のチカンなのね?認めるのね?素直に認めれば、お上にもお慈悲はあるのよ!」

「いやね、そうじゃなくて....(どうしよう、スティーブ)」

「(オーケー、ジョン。彼女はMacintoshを知らないようだ。でも、全世界、老若男女に大人気の『トイストーリー』なら知っているだろう。その線で話してみよう)
ハーイ、素敵なお嬢さん、『トイストーリー』というアニメを...」

「嫌ーぁー!。すっごく嫌。嫌過ぎるぅ!オタクなのね。あなた、痴漢変態不良外人ってだけじゃなくて、いい歳こいてHアニメオタクなのね。わ、わかったわ。あなた、私があんまり可愛いものだから、さらっていって、メイドさんの服装させて、あんな事やこんな事、とても口じゃ言えないような恥ずかしい事をしたりさせたりするつもりなのね。キャーァ!誰か、助けて!人さらいですぅ」

「ノォー、お嬢さん、誤解です。我々は、ただ、このコンピュータを使おうとしていただけです。ジャスト・シンプル」

「貸してごらんなさいよ!....................何よ、.嘘つき」

「へ?」

「これ、パソコンじゃないわよ」

「は?」

「パソコンと言うのはね、もっと使いにくくて、訳の分からないメッセージを見せつけられて、しょっちゅう意味不明のメッセージを出してアプリが落ちまくって、使っていてイライラして、画面を叩き壊したくなるような物なのよ!」

「いや、それはウィン...」

お「それなのに、なによ、これは。シンプルだけれども使いやすいユーザーインターフェース、親しみやすいルック&フィール、フォルダを操作するだけで楽しくなるようなファイン....じゃない、えーと、ファイルマネージャー。こんなの、パソコンのわけないでしょ!」

「いや、だからそれは、フォー・レスト・オブ・アスのためにウチがいろいろ努力した苦節10年の賜物でして...」

「大体、こんな簡単なパソコンだったら、ウチの課長や部長でも使えちゃうじゃないの!そうしたら、私の仕事が無くなっちゃうのよ!あんたち、ハゲでHアニメオタクの好色痴漢変態猟奇不良外人のクセして、私の職を奪おうっていうの!鬼、外道、嘘つき、詐欺師!」

「あ、その最後のはちょっと当たってるかも.....と、失言だ、スティーブ、忘れてくれ」

「大体、ゴミ箱、じゃないごみ箱が反対側にあるっていうのが、いかにもインチキ臭いわよ。仮面ライダーのニセモノだって、マフラーの色が違うくらいで、もうちょっと上手く化けるわよ。まったく、オバQ並みの化け方ね」

「えー、ですからそのぉ、ゴミ箱というのは元々ウチが本家本元家元でして...それにオバQは消えるだけで元々化けられないわけで、いや、そう言う事じゃなくて、われわれはアメリカから来たので、ドロンパになるわけで...(ああ、どうしよう、スティーブ。ワシ、もう、泣きそう)」

「(仕方ない、できればこんな場所で使いたくはなかったのだが...)」

「(まさか、スティーブ、あれをここでやるのか?)」

「(もう、あまり時間がない。ここで一気に勝負をつける!)そぉれー、『現実歪曲フィールド』全開!」

「......あんた、馬鹿ぁ?」


解説しよう。20世紀終盤には必殺の威力を持っていたスティーブ・ジョブズの『現実歪曲フィールド』だが、時は既に21世紀。一部Macユーザーの間では『アンチ現実歪曲フィールド』の研究・開発が極秘裏に進んでいたのである。非常に機密性の高い研究のため詳細は不明であるが、一説には「眉につばを付けること」で『アンチ現実歪曲フィールド』を発生させることができるという。

とまぁ、そうこうするうちに、電車は駅に止まるわけです。


「あ、もう会社だ。降りなきゃ。いい、あなた達!」

す・あ「はひ」

「今日の所は見逃してあげる。そのかわり、今度同じようなマネをしたら、ぜぇーっったい、絶対許さないわよ。わかって?」

「はい、もうしましぇん...」

「どうもすんませんでいした...」

ここで、OL嬢は退場。この役、実は「うるさいおばさん」でも良いんだけれど(というか、そっちの方が攻撃力高いんだけど)、まぁ、そこは惻隠の情、武士の情けという奴でございます。


「スティーブ、ワシ、何か、疲れた...」

「ワシも。マイクやギルの気持ち、ちょっとだけわかったような気がする...」

と、半ば放心状態の二人より1〜2メートル離れた場所では、サクラその3:ちょっとハンサムで仕事できます風な30歳前後の好青年が、VAIO c1あたりを使っているわけです。で、その様子をサクラその2:ジョブズ好みの知的な金髪美人がチラチラと眺めてるわけですな。

好青年「お嬢さん、何か?」

知的な金髪美人「あら、ご免なさい。お仕事のお邪魔をしたかしら。あなたの持っているラップトップがとてもキュートなので、つい覗いてしまいましたの。」

好青年「光栄ですね。でも、このPC、一つだけどうしても気に入らないところがあるんです」

知的な金髪美人「まぁ、そんなに素敵なPCなのに?」

好青年「ええ、このPCで僕のお気に入りのMac OSが動けば、きっとあなたと同じくらいチャーミングなんですが」

知的な金髪美人「まぁ、お上手ですのね」

な〜んて会話をしながら、「じゃぁ、次の駅で降りてお茶でもご一緒しましょう」なんて話しになっているわけです。


「...ワシ、なんか、イカってきた」

「は?」

「ワシ、世界的有名企業のCEOね。それが、電車の中でPowerBook広げようとしただけで、若いネーチャンにケチョンケチョンに言われてグゥの音も出なかったわけよ」

「はぁ」

「それに引き替え、さっきの若造。なぁ〜にが『このPCで僕のお気に入りのMac OSが動けば、きっとあなたと同じくらいチャーミングなんですが』だぁ。Mac OS本家本元のワシがケチョンケチョン状態なのに、ちっこいPC持ってただけできれーなお嬢さんと『お茶でもご一緒しましょう』だとぉ!」

「お茶だけで、終わりますかね?」

「そーゆー問題じゃないの。...ワシ、決めた」

「あー、スシでもつまんでから本社に帰ります?」

「作ったる」

「スシですか?」

「じゃなくて、ちっちゃいMac、作ったる!電車の中でパッと開いて、思わずきれいなお嬢さんが寄ってくる....じゃなくて、周囲の注目を集めるようなキュートでクールなサブノートのMac、作る!」

「(ったく、このオヤジ、気まぐれなんだから...)OK、スティーブ。では、早速本社に戻ってデザインの検討を始めよう」

「いや、このプロジェクトには、彼らの協力が必要だ」

「彼らって、誰っすかぁ?」

「ジャパンにはライスの粒にハンニャシンギョーを書く技術を持ったデザイナーがいると聞く。PowerBookの徹底した小型化には、彼らの協力が必要だ」

「あの、もしかして、ワシもその、ハンニャシンギョーをライスの粒に書かなきゃならんのですか(ワシ、泣きそう)」

「もちろん、ブッディストではない君がハンニャシンギョーを書く必要はない」

「(ほ、良かった...)」

「賛美歌くらいは書けるようにしておきたまえ」

「(ワシ、転職しようかな...)」


こうして、Appleのサブノートプロジェクトが、船出を始めることになりました。めでたし、めでたし。


(c)Satoshi Honya